子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ

更新日時:2016年06月30日

☆ ルビンの壺 ☆ 

 

先週の月曜日は、私が以前勤務していた中学校の校内研修の講師として、30年ぶりに校門をくぐりました。職員室を覗かしていただくと、私が座っていた場所に同じように机が配置されていて、思わず「あそこです!」と、声をあげてしまいました。

 

土曜日には、別の中学校区の保護者や地域の方々の集まる会の講師として、子育てについてお話しさせていただきました。なんと、偶然この学校の教頭先生は私の高校時代の悪友ときていますから40年の年月が走馬灯のように思い起こされた1週間でした。

 

どちらの講演でも共通にお話したことに、生徒(子ども)と親(先生)の見ている世界は違うということをお伝えしました。

 

「ルビンの壺」と言われる絵をご存知だと思います。絵の中心を見ると壺に見えて、両脇を見ると二つの顔が向き合っているように見えるのです。

 

この二つの絵を同時に見ることはできず、壺を見ているときには、顔は認識できず、顔を見ているときは、壺を認識できません。人によって、どちらかの絵が極端によく見えるのです。

 

親子、生徒と先生が、同じ「ルビンの壺」を見ていても、子ども(生徒)が壺を認識していて、保護者(先生)が顔を認識しているとしたら、同じ絵を見ているようで、違うものを見ているわけですから会話は成り立たないのです。

 

このギャップを埋めるには、「相手の関心に関心を向ける」以外に方法はありません。「相手の関心に関心を向ける」ということは、このメルマガでも何度となくお伝えしてきた共感という姿勢です。自分の認識や意識を一旦棚上げして、相手の見方で事象を見ることが共感なのです。

 

子どもが部屋でゲームをしている姿を見て、

 

親:「お母さんが、何度も勉強しなさい!と言っているのに、何であなたは勉強しないの!」

子:「わかってるよ!」

 

というやり取りは、親の見やすい視点でとらえているのです。

これを、共感の視点で捉えると、

 

親:「今、勉強していないようね。あなたのことだから、今勉強しなきゃいけないということは十分わかっていると思うわ。そして、今、勉強していないのは、何か困っていること、問題があるのかしら・・・?」

 

子:「やらなきゃいけないのは、わかっているけれど、難しくてやる気にならないんだ」

親:「やっぱり、やらなきゃいけないことは意識していたのね。確かに、難しい問題だとやる気にならないわよね。もし、よければ、お母さん少し教えてあげようか」

子:「本当!助かる~。でも、お母さんにわかるかな~、結構難しいよ」

親:「そうなの、それじゃあ、一緒に考えましょうか」

子:「うん!」

 

親(先生)の視点で、ネガティブな感情むき出しに怒ることは簡単ですが、子どものやる気を伸ばしたいのなら、まず共感の姿勢で臨みましょう。どうしても叱る必要があるのなら、その後でも遅くはないでしょう。

 

是非、子どもの視点に立ち、子どものやる気を引き出しましょう!

 

☆ 子どもの自己成長を見守る ☆ 

 

いよいよ明日から梅雨をイメージさせる6月です。真夏の青い空、白い入道に出会う前の、しばらく時間が止まったかのような曇天と雨が続く日々となるでしょう。

 

さて、梅雨といえば雨。よく傘を持たずにびしょ濡れになって帰宅する生徒を見かけます。親としては、子どもが風邪をひかぬようにと、

 

「傘は持ったの!?」

「今日は午後から雨が降るそうよ!」

 

なんて、登校するお子さんに声をかけるのではないでしょうか。

ほかの季節ならともかく、梅雨の季節であれば“いつ雨が降るのか”という意識は、小学生でもあるはずです。親が持ち物確認をするのもよいのですが、いつもいつも子どものためと思いながら、持ち物チェックをしていれば、お子さんは何を学ぶでしょうか。

 

そうです。いつもお母さん(お父さん)が自分の前に起きそうな色々な障害に気を配ってくれる、お母さん(お父さん)の注意に従っていれば大丈夫、と考えるでしょう。

 

しかし、忙しいお母さん(お父さん)が、子どもの前に立ちはだかる障害をいつでも未然に防げるかといえばそんなことはありません。

どこかで「うっかり・・・」ということも出てくるでしょう。

 

そんな時、「お母さん(お父さん)も人間だから仕方ないね」と思えれば健全ですが、

 

「何で、今日、雨が降るって教えてくれなかったんだよ」とか、

「雨が降るっていうから傘を持って行ったのに、降らなかったじゃないか。本当に損をしたよ」

 

なんて言うようでは問題です。

 

お子さんが自律するには、お子さん自身が自分に降りかかるかもしれない先のことを見越して、行動するという姿勢が大切です。

 

お子さんが自ら先を予測して自分で防衛手段を講じるようになるためには、お子さんの行動に親が必要以上にかかわらないことが必要なのです。

 

「今日は雨が降るから、傘を持って行きなさい!」から

 

「この時期、いつ雨が降るからわからないから、傘の準備をしておいた方がいいわよ」

 

といった具合に注意を喚起する程度で、後はどうするか、お子さん自身の行動に委ねましょう。

 

「うちの子、そそっかしいから…。放っておいたらびしょ濡れになって帰ってくるからとても放っておけないわ」というお気持ちもわかりますが、子どもは自分の不注意でびしょ濡れになり、辛い思いをすれば、次回は自分自身で注意して行動を選ぶはずです。

 

お子さんを自律させるのであれば、行動を管理しようとせず、お子さんの自己成長を見守る程度がお勧めです。

 

 

☆ 子どもの嘘と付き合う! ☆ 

 

◇子どもは、時に無邪気な天使にも無邪気な悪魔にもなります。明るく屈託のない笑顔を見ると、子どもはやっぱり天使なんだと思えてきますし、子どもの何気ない一言がグサッと心に刺さって痛い時は、無邪気な悪魔のようにさえ思えます。

 

◇しかし、子どもは、あまり何も考えていないものです。思いついたことが、ちょっと口を突いて出てきただけのことが多いのです。実は、人間はそんなに色々なことを考えているわけではなのです。

 

◇しかし、それで終わらないところが子育ての難しいところです。子どもが無邪気でいる奥に、隠れた意図が存在したりするのです。ちょっとした一言が、どんな目的から発せられるか、それを考えないと上手く子どもと付き合えない場合があります。逆に考えすぎて、子どもと上手く付き合えない場合もあります。今回は、子どものウソについて考えてみたいと思います。

 

「子どもの嘘と付き合う」

 

◇子どもはよく嘘をつきます。嘘とわかる嘘をついて失笑を買う場合もありますし、巧妙な嘘をついて、上手く困難を乗り切る場合もあります。親として子どもの嘘をどう考えるかですが、基本的には、子どもの嘘に上手く付き合ってあげることです。

 

◇何でもかんでも嘘はいけないと目くじらを立てることはありません。嘘も方便といいます。しかし、だからと言って、見過ごしてはいけない嘘もあります。たとえば、誰かを陥れるような嘘です。自分の間違いを友だちのせいにして、真実を誤魔化そうとする嘘は見逃してはいけません。お母さんが子どもの説明に違和感を持つのであれば、そこはしっかり聞き質すことも必要です。

 

以下の会話は、そんな例です。

 

お母さん:今日、先生から電話があったよ。B雄君と喧嘩したんだって?

A君  :そうなんだ。

お母さん:どうして喧嘩なんかになっちゃったの?

A君  :B雄が急に殴ってきたんだよ。

お母さん:そうなんだ?……で、あなたはどうしたの?

A君  :頭に来て殴り返した。

お母さん:それで喧嘩になったの?

A君  :奴が悪いんだよ。俺のこと馬鹿にするから。

お母さん:もう一度聞くけど、何で喧嘩になったの?

A君  :奴が急に殴ってきたんだよ。

お母さん:なんでB雄君は、あなたを急に殴ったの?何かあったからB雄君は、あなたを殴った訳でしょ!そうじゃなきゃ、一方的にB雄君が悪いのね。

A君  :え~……

お母さん:しっかり説明しなきゃダメよ。

今のじゃ、B雄君だけが悪いって聞こえるわよ。喧嘩の原因はB雄君のせいだけなの?違うでしょ。他人のせいにして、自分は悪くないなんて言おうとしちゃダメよ。

喧嘩は、どっちにも原因があるものなんだから。わかった!?正直に話してご覧なさい。

A君  :わかったよ……

 

◇子どもの嘘を嘘と断罪することはありませんが、しっかり親がリードして、子どもが正直に話せるようにもっていってあげることも必要なことです。

 

◇見逃してはいけない嘘の一つは、自分をかばおうとして他人を悪者にしようとするものです。こういう嘘は意図的でない場合も多いものですが(無意識的に防衛本能は出てきてしまうので)ここを見逃さないようにしたいものです。

 

「子どもの嘘をしっかり受け止めよう!」